ヴェンダーズの求める「画=イメージ」とはおすすめ度
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このBOXの編集意図はヴェンダーズの求める映画における「画=イメージ」の形、その希求の道程を示すことにあるのではないでしょうか?
例えば、『東京画』ですが・・・。小津安二郎が、不朽の名作「東京物語」(53)を生んでから30年後。彼を深く敬愛する映画作家ヴェンダースが、現代の東京を訪れる。小津映画ゆかりの2人の映画人との感動的な対話を通して、雑多で無秩序なイメージが氾濫する街にも、汲み尽されていない純粋な「画=イメージ」が、いまだ存在することを確信するに至る経緯が、旅日記風に描かれていくドキュメンタリー作品です。単なるオリエンタル趣味のお気楽外国人の珍道中記などではないことは明らかです。この映画でなされた哲学的思索が、次作「ベルリン・天使の詩」(87、カンヌ映画祭監督賞)で結実、それが珠玉の映像詩として世界中で絶賛されることとなると考えられます。
架空の旅人
おすすめ度 ★★★★★
ヴィム・ヴェンダースとはつくづく架空の世界を旅する永遠の旅人である。その作品世界はまさに夢の中の夢、うつつのようなものである。モノクロームで語られる世界も、どこまでも極彩色の世界もまるでこの世の外、人の心の境を映し出す。だからこそその世界観には澄み切った普遍性が内包され、シネアストとしての永遠性が約束されるのである。