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+ 春の雪 +

春の雪

行定勲
おすすめ度:★★★★★
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美しい映像と幻のような物語
おすすめ度 ★★★★☆

三島文学の美しい世界観が表現されています。
ただ少し残念な部分もあります。

ひとつは清顕の聡子への想いが少し思春期の少年っぽくなりすぎていて、原作のもっと複雑でひねくれた感情と違うように感じてしまったところ。

それから本多青年がどうも印象に残らないところ。もう『豊饒の海』で続編を映像化する気がないからかもしれませんが、この後の世界を暗示させるくらいインパクトがある人物であってほしかったです。

そして何より主題歌がイメージに合わない。これで★ひとつ減らしました。テロップ流れてあれはひどすぎです。それなら劇中流れていたクラシックの方がよかった。
宇多田光は好きなのですが、でもなんでも使えばいいってものじゃないだろうと思います。

映画自体は作品にかなり忠実で、文学作品を読み終えたときに似た心地よさを味わえます。三島文学好きな方はもちろん、今まで苦手とされていた方にもお勧めできます。



良い意味で裏切られた、良かったです。
おすすめ度 ★★★★★

 映画の番宣を見たときは、なんかベタな感じで、予定調和なつまらない映画かなと思いました。しかし、実際見てみると最後まで飽きずにみました。やっぱり、原作がよくできているせいだったのかなぁ。
 男女二人の切なく、じれったい恋愛に引き込まれました。また、主人公とその友人田中との友情も羨ましかったです。
 トータルでは、よくできていたと思う。



優雅と高貴の世界
おすすめ度 ★★★★☆

この映画を見たのは、三島の原作を読んだ後でした。
原作と異なる場面も多々見られるものの、竹内さんがあれほど高貴で美しい聡子を演じるとは驚いてしまいました。そして内面の葛藤と激しい恋への情熱を秘めた清顕に妻夫木さんというキャストも、見終えた今はぴったりだったと思います。

三島作品の映像化は、美しいかどうかが一番の要ではないでしょうか。
大正時代の華族の恋物語に現実性など到底望めませんが、それもまた映画の良さだと素直に感じる作品です。それほど音楽、映像、その他演出が絢爛たる優雅さを表現しています。
「春の雪」にラブストーリーや純愛という言葉は安普請です。

(それだけにラストの一言は、やはり監督が「世界の中心〜」・・の方なんだな、と改めて実感してしまいした。)

素晴らしい映像作品ですが、映画と共に原作も読んでみることをお勧めします。



欠点は二ヶ所だけ
おすすめ度 ★★★★★

妻夫木聡と竹内結子が三島作品を演じると聞いて「えー?ちょっと…」と思いました。が、出来の良さに溜め息が出ました。作品をありのままに映画化というより、三島的な映像を再現した、と、私は思います。竹内結子の豊かな表現は素晴らしかったです。妻夫木が演じる「大正の青年」はとても難しいと思います。何に対しても空虚な青年が、皮肉りながらも恋をしていると気付き、若さゆえの恋に身を投じてしまう…。
映像と流れが美しい。輪廻がテーマであるが、この部分を簡潔にしているためすっきりしていると思う。惜しかったのは竹内結子の肌が荒れて映っている場面と、ラストの歌。この歌は歌で良いけど、作品には合わないと思う。


概要
三島由紀夫「豊饒の海」4部作の1巻目を、初の映画化。行定勲監督の下、妻夫木聡、竹内結子という魅力的な共演が実現した。大正初期を舞台に、栄華を誇る侯爵家の若き子息、松枝清顕と、没落の気配を見せ始めた伯爵家の令嬢、綾倉聡子の悲恋を描く。宮家の王子から求婚を受けた聡子が、それでも清顕と関係を持ってしまい、取り返しのつかない運命をたどることになる。
大正の貴族社会を再現した美術に息をのむばかり。『花様年華』などの名カメラマン、リー・ピンビンによる、ゆるやかなカメラの動きも美しい。主演ふたりは、いかにも現代的なイメージだが、格調高いセリフを自分のものにし、独特の貴族社会に溶け込んでいる。クライマックスの妻夫木の演技は鬼気迫るものがあり、岸田今日子ら助演陣も秀逸。この映画版は、誰かを一途に愛すること、そして愛のために身を引くことの辛さを、時代を超えて現代のわれわれに訴える力を持ち得た。「豊饒の海」全体の主人公であり、清顕の親友である本多繁邦の視点から観ると、また違った三島由紀夫のテーマがにじみ出てくる点もすばらしい。(斉藤博昭)

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