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東京裁判 (上) (中公新書 (244))

児島 襄
おすすめ度:★★★★★
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読んでいて愉快な本ではない
おすすめ度 ★★★★☆

連合国側の内部事情が透けて見えるのが面白い。
オーストラリア政府は、日本の脅威に直接さらされてきた。
英国は大西洋と地中海の防衛で手一杯。
太平洋のことなど、気にしていない。
にもかかわらず対日占領政策は、英米ソで勝手に決めるのか。
英帝国の一体感などは、安全保障に関する限り、大戦によって消し飛んでしまった。
「オーストラリアは要するに、日本占領について名誉ある地位を望んでいる。東京裁判の裁判長は名誉あるある地位だ」とマッカーサーが言ったと書いてある。
それがウェッブ裁判長らしい。



初めて学ぶ人にもよい
おすすめ度 ★★★★☆

靖国参拝などの問題で「A級戦犯」の存在はご存知の方も多いはず。
しかし、そのA級戦犯とは何なのか。
どういう人たちがどういう経過を経て「A級戦犯」になったのか。
この辺のことを知りたくて本書を読んだ。
東京裁判については初めてかじったが、非常にわかりやすく、全体をつかむ事ができた。
初めて東京裁判について読むにはよい本だと思う。
ただ、太平洋戦争の知識がないのであれば、「あの戦争はなんだったのか」(保阪正康)や「太平洋戦争」(児島襄)などで予備知識をつけた上で読んだほうがいいかもしれない。



「東京裁判」の「事実」を知る為の入門的書物としては、適切
おすすめ度 ★★★★☆

始めにはっきりさせておきたいことがある。
「歴史学」の基本はあくまで「過去に起きた事実」にあります。少なくとも近代的な人文「科学」として批判に堪える「史書」たる為には、一切のフィクションを排し、「事実」のみによる記述が求められます。
これは、「東京裁判」に限らず、「歴史学」の基本であります。無論、例えば「義経」について史実と違う「英雄」として語られ文学・芸能にまで発展したことも、歴史的事実であって、それを支えた庶民の「考え方」として歴史学的に貴重。また「記紀」のような古代の歴史書は、そのまま「事実」としては受容できぬが、当時の為政者がこういう「歴史像」を描いたという事もまた貴重な「歴史的事実」である。
その上で、どの事実に「意味」を見出し、「歴史」叙述に高めるかが「歴史家」の仕事。ここでいろいろな「立場」が発生する可能性があるけど、基本には徹頭徹尾「過去の事実」の集積がなければならない。
これは「歴史学」の根本命題だと愚生は考えます(余りに当前のことだと思うが、今、私はこの「歴史の基本」を再確認せねばいけない必要を痛感している)。

前置きが長くなったが、「東京裁判史観」などというようなことが言われるなか、まず必要なのは「歴史的事実」、つまりこの多くの問題をはらんだ裁判の「詳細な事実」を知ることが決定的に重要だと思うから。
無論、あらゆるやり取りの記録はあるが、それを全部読むことは現実には不可能。だから、幾度かは実際に裁判を傍聴した経験があり、相当な量の資料に当たりつつ、新書2冊というコンパクトな形で「裁判の実像」をかなり上手く書き込んだ本書は、その概要を知ろうという積極的な読者の要望をかなりの程度満たしてくれる書として、僕は高く評価する。
無論、欠点はある。裁判と並行して進められた占領政策に触れていないのは、特に天皇の地位問題で惜しまれる。が、本書の意義を否定するほどのものではなかろう。



若き日の著作
おすすめ度 ★★★★☆

一体こんなに大量の本をどうやって書いているのでしょうと思わせる小島氏の初期作。
若いのでこの頃は特徴的な「なのだが...」という文体はまだ無い。
新書上下なので、この長い物語の概要だけはわかる。
興味のある人はこの本で概要をつかみ、映画「東京裁判」等のもう少し詳細を
語った資料であなたにとって「正しい」歴史を学んでください。



日本人の目から見た東京裁判ドキュメント‥必読
おすすめ度 ★★★★★

極東軍事裁判、通称「東京裁判」を実際に傍聴した著書による貴重なドキュメンタリー。
当時法学生であり、裁判が進むにつれ、裁判当時から「戦争を裁くことができるのか?」との疑問を
持っていた明敏な著者の目がリアルタイムで捉えたこの書は、当時の空気までをも伝えてくれる。

当時の日本人の心情、被告の人物像、スガモ・プリズンの生活、敗戦国と戦勝国でトイレすら分けられ
ていた法廷。そして「法」の名の下、戦勝国が敗戦国統治を有利に進めるために様々な裏工作が進む。

上巻は、終戦から東京裁判の開始、主に検察側の立証段階までが書かれている。

文体が少し古いが、コンパクトにも拘らず知られざる事実までも読めるので、入門書としてお薦めする。

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