知的好奇心を満たしてくれる、読んで「面白い」参考書おすすめ度
★★★★★
(2008/04/14改訂)
・この参考書は、地理的・歴史的・公民的分野の3つのパートから成っています。各分野それぞれ約100ページずつあり、本書1冊で中学3年間の社会科が網羅されています。ここでは、歴史的分野についてレビューします。
・本書では歴史的事象の「因果関係」がしっかりと書かれています。教科書では掴みにくい「事件にはそれが起きた背景・理由があり、その事件によってどのような影響があったのか?」ということが語られているのです。ですから、本書を読むことで、歴史的事象が"繋がっている"ことが理解できます。「歴史の流れ」が掴めるように記述されているのです。だから、読んでいて「面白い」と感じます。
・ただし、本書は教科書のような「易しい言葉」で書かれているわけではありません。大人の通読にも耐えうる文章です。ですから、入学したばかりの中学生や、国語や社会科の苦手な生徒には荷が重すぎるかもしれません。しかし、国語力のある生徒が何度か通読すれば、「歴史の全体像」が頭の中にスッキリと整理されることでしょう。高校入試の準備には最適です。また、高校で日本史を学ぶ前に、通史をさっと復習するのにも適しています。
画期的社会参考書おすすめ度
★★★★★
とにかく体系的に記述・写真・図表が充実しており、「なぜ」という疑問から「なるほど」という快感へ導いてくれる。単なる受験参考書以上に、豊かな教養や素養を与えてくれる。
また、歴史・地理・公民分野が単にわかれているのではなく、相互に参照が可能な形になっているのもとても便利である。立体的・相互的な見通しが得られる構成となっている。
得意科目を作れるゾ!
おすすめ度 ★★★★★
20年ほど前なら同じような参考書が数冊出ていましたが、近年は中味のない見栄えのするものばかりが幅を利かせています。そんな中、かろうじて『ニューコース』や『精解』だけが正道を行きはしても、それでも内容が浅く、編集が雑でした。折りしも「発展」学習を取り入れた新課程に移行する元年、どこかの出版社が名乗りを上げると思いきや、旺文社が、それも大胆にも「ハイレベル」を前面に出して決定版を出されたように見えます。
英語と国語は、教科の特性上、参考書向きではない教科であるため、その意味では失敗作でしょう。内容的にも見識がありそうに見えず感心できない。数学は今さら新機軸は打ち出せず、ありきたりの解説でこれも失敗作。ところが、理科と社会はすばらしい。とりわけ社会は中学入試を切り抜けてきた者もそうでない者も等しく基礎から中学社会を学べる内容になっている。資料も豊富で、活用の仕方が詳しい。3分野が均等に書かれていて読みやすい。
弊塾は本書を教科書と併用して、全文をノートに書き取らせ、まとめる練習をさせています。ちょうど大学受験の、山川『日本史研究』などをノート整理させるのと同じです。精読に耐える内容です。将来、本書をもとに入試問題が作成されることでしょう。中学1年生の段階から精読をし、3年間みっちりやれば社会(および理科)は得意科目になるはずです。