これぞ歌手の中の歌手によるカバーの素晴らしさ、です。でも感動したのは歌声だけじゃなくそのしなやかな表現力。歌い手のイメージが曲の隅々にまで行き届き、新しいいのちが通っているのを実感します。同じ曲調なのに気品と優しさで洗練されると、驚くほど物語の表情が変わり澄んだ色彩になります。すると本来もっている旋律の美しさが益々際立ってくるんですね。それは歌声のよさだけでない掌握の凄さではないかと。例えば山下達郎は「カバーをやれない歌手は信用できない」と言ったそうですが、やはり一流歌手のカバーというのは技術だけではなく、内面的な理解と掌握であり、そこへのイメージの浸透とアウトプットであるような気がします。小田和正が彼女を稀代の歌手、と呼ぶ意味の一端もそういう歌力からではないでしょうか。美声だけでなく魂が宿り且つくどくならない、当に邦楽カバーを代表する品質です。
1最後の台詞はこんな素敵な大人の言い方が、と発見。2は癖の強いサビも、洗練されしなやかな説得力をもつ大人のかたちに。7も印象が涼しさに変り、詞の純粋性が増したよう。ここにいるよという透明な鳴りに驚きです。3、4、8は男声曲を女声が掌握してゆくお手本音源かも。5、6、9は一層爽やかで、自身の10はNHK「どんど晴れ」挿入歌。POPSを超えうたとしての存在感が大きく、今作一番の聴き所です。12は無歌詞。11は緩やかなグルーヴでBVには山崎まさよしも。
やっぱりすごいおすすめ度
★★★★★
9曲までは、カバーにもかかわらず「ああ、いい歌だ。元歌は誰の?」
という詮索はまったく必要ありません。
すっかり山本潤子さんのものになってしまっています。
徳永英明のVocalistシリーズに、はまったのと同じパターン。
願えるなら是非SONGS2を出してもらいたいです。
「恋の予感」は、冒頭の「なぜ、なぜ〜」からゾクゾクっと来ました。
小田和正のDVDボックス「風のようにうたが流れていた」
でゲストで出演されているところは、もう何回も何回も見ました。
赤い鳥でデビュー以来ずーっとリアルタイムのファンの一人です。
赤い鳥の頃、小田さんが「稀代のボーカリスト」と称された、
その声は、現在少しも衰えることもなく味わいを増しています。
溢れる幸福感おすすめ度
★★★★★
「うまい歌手がいい歌を聴かせる」という単純なこと。
いつまでも聴いていたいという優しい幸福感に包まれます。
カーペンターズを初めて聴いたときのような、喜びを久々に感じました。
理屈は必要ない。ただただいつまでも聴いていたい。
看板に偽り無し!おすすめ度
★★★★★
帯に「『J−POP』カバーアルバムの最高峰」とありますが「看板に偽り無し」です。誰の持ち歌だとか、もう関係無いんです。ボーカルの力を見せつけられる日本人としては、ケイコリー、綾戸智絵を超越しています。なんて色気のある澄み切った歌声なんでしょうか。特筆は「Missing」ですね。久保田さんのボーカルは「演歌」です。彼女の声にかかれば極上の「ポップス」になるんですよね。ここは更に足を踏み入れて低調な日本JAZZボーカルに一石を投じてもらえないでしょうか。「永遠の歌姫」は山本さんのためにある言葉です。国民栄誉賞を与えるべき!だって「翼をください」は「音楽」の教科書に載っているんでしょ?彼女の声無くして、あの歌はありませんよ。ついでにナベサダさんにも国民栄誉賞をあげてください。古賀メロディーだけが日本の音楽じゃぁないよっ!
やっぱり山本潤子です!
おすすめ度 ★★★★★
いろいろな方が、カバーアルバムを出される昨今。
山本潤子という女性ボーカリストとしての卓越した存在感を示してくれたアルバムだと思います。
青春をその歌声で癒された時代とは、また、一つ違った味わいを感じさせてくれました。
山本潤子さん「サンキュ」です。