粋!!おすすめ度
★★★★★
今から約20年前、高校生のときに初めて読んだ時代小説が、この都筑センセーの『なめくじ長屋』の1作目だった。
シリーズは続けて読んでいたが、本書は10年の間をおいて出版された11作目となる。
副題に『捕物騒ぎ』とあるだけあって、物語自体は江戸の捕り物帖といえるだろう。
ただし、活躍するのは正体不明、素浪人姿のセンセーを筆頭とする、怪しげな大道芸人の集団。
キレイに事件を解決するときもあれば、内々に処理して大店などの当事者から袖の下を受け取るときもあり。
なんといっても、実のご兄弟が噺家という都筑センセーの江戸時代に対する造詣の深さは素晴らしく、
なめくじ長屋の面々の江戸言葉や、そのほか当時の生活様式や風俗、文化などが事細かに、
生き生きと描き出されていく様子を、自らが年を重ねたこともあり、改めて感嘆する思いで読み終えた。
文中、道を尋ねるセンセーに、カッパがこう答える。
『知ってますぜ。こう、おいでなせえ』
粋だねぇ。
それだけで嬉しくなる。