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ベニスに死す

ルキノ・ビスコンティ
おすすめ度:★★★★★
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あまりにも無意味でありながら価値のある傑作。
おすすめ度 ★★★★★

あまりにも意味のわからないレビューのタイトルで始まってしまいましたが、正直なところこのようにしか本編を形容することができません。

才能ある中年男の禁断の恋。共感する者以外には全く無意味な題材。しかしヴィスコンティ監督の手にかかると、こうした多くの人々にとっては意味の無いエッセンスも価値のある逸品に仕上がってしまうのです。名優ダーク・ボガードの抑えた演技から半端ではない欲望がはみ出していく様子は圧巻。どのようにしてヴィスコンティはこのような演技を引き出すことができるのかいい意味で理解に苦しみます。

アシェンバッハの陰鬱な表情とバックに流れる、この主人公のモデルとなったグスタフ・マーラーによる交響楽との流麗かつ陰惨な一体化。それは放っておくと何時間でも浸っていたくなるデカダンスを伴った快楽。この時点で私ははっとさせられました。このフィルムを見入ることによって、次第に自分もダーク・ボガード扮する男の気持ちに溶け込み同調しているのではないかと。一瞬「そんなことはあり得ない」と当惑する自分。それでもこのフィルムに見入ることは止められません。それどころかさらにフィルム自体の深みに入り込んでしまっている・・・。ベニスの町は中世さながらの退廃的な祭りで沸き立っている。その退廃した空気はホテルにも、街にも、運河にも充満しきっている。加えて、そこに忍び寄る疫病の恐怖。ベニスという街の持つ、中世を引きずるゴシック的不気味さをこれだけ引き出したフィルムがかつてあったでしょうか。ダーク・ボガード扮するアシェンバッハでなくても、こんなところに逗留していたら狂気に陥るのかもしれません。

そしてビョルン・アンデルセン扮する妖艶なタジオです。ギリシャ彫刻然とした完璧ともいえるフォルムを有する少年。すくなくともアシェンバッハにそう思わせた若人。哀れな主人公の自分への恋心を知ってか知らずか少年もまた初老の音楽家を意識します。しかし、どのように意識しているのか。その曖昧な冷たい微笑みは観る者をあざけり、迷わせ、突き放すのです。その存在がベニスの不気味さとあいまって物語は至高の退廃美をじわじわと完成させていくのです。

見終わったあと本編に当初感じた無意味さは、人間が持つ美への願望あるいは欲望といったある意味で大いに検証するに値する心情ととって替わられてしまいました。無意味さが純粋なる価値へと昇華していく。本編で体感したヴィスコンティの魔術とはそんな魔術なのです。



名優ダーク・ボガード
おすすめ度 ★★★★★

全編美しい映画で絵画のような印象を与える傑作です。
中でも主人公を死に誘うようなタジオ=ヴョルン・アンドレセンの美しさと
冷たい仕草が良く話題になりますが、
個人的にはやはり美少年に惑い、最後悲劇的(喜劇的でもある)に死んでいく
音楽家アッシェンバッハ=ダーク・ボガード氏の演技が素晴らしいです。
タジオを見てからの初恋の少年のような戸惑い、思い切って諦める為に
ベニスから去ろうとしたものの手違いでベニスに残ることになった時の歓喜(!)
自分の死を自覚した時の絶望…。
ほとんど台詞は無く仕草と顔の表情で表現しているのがすごいです。
この映画そのものはアッシェンバッハの一生涯を追いかけている構成でありまして
所々に挿入される回想シーンでの子供と戯れる父親の彼の姿は
その後の人生の残酷さを感じましていつ見ても泣けます。
この映画に出演した後にボガード氏は
「これ以上の演技の出来る映画はないだろう」と語ったそうですが
確かにアッシェンバッハを演じられるのに一生涯分の感情を使われたと思います。
余談ですが、指摘されるまでボガード氏が「地獄に墜ちた勇者ども」の
フリードリヒも演じられていたとは気がつきませんでした。
(全然印象が違います)

上映されてから三十数年、
ボガード氏始め出演者の大半は鬼籍に入りベニスも変わりました。
しかしこの映画の美しさはいつまでも変わらないでしょう。



見る少年
おすすめ度 ★★★★★

ゆったりとオーソドックスに、奇を衒うことなく、威風をはらって進行する映画。原作より遥かに優れた作品ではないかしら。原作の方は好きではありませんでしたね。初老の男性が美少年にポ〜っとなるなんて結構ありきたりな現象をネタになんでああも大仰な芸術論が展開されるのかと。ユーモアの片鱗もなく。これがドイツ的重厚ならご勘弁だわと思った記憶があります。
「美の力」がテーマだとか「老い」がテーマだとか、すぐに思いつく屁理屈はいろいろありますが、今回久しぶりに鑑賞して印象に残ったのはタジオ少年がジーっとアッシェンバッハを見返すヤツだということです。少年は何をしてるのか。「品定め」でしょう。アッシェンバッハは美少年に品定めされてゲシュタルト崩壊を起こすんですね。見る側(主体)のつもりが見られる側(客体)でもあるのだという事実に愕然として、髪を染めて白粉を塗る。あれは遠目(タジオ視点)からの効果狙いですから舞台化粧みたいなものです。
アッシェンバッハは「能力で評価される男」として人生過ごしてきた訳です。容姿のみで評価される立場になんて立ったことはない。しかしタジオ少年はアッシェンバッハが有名な音楽家だなんて知りませんから、ただ「見る」ことによって品定めします。高尚な精神活動の世界で一生を過ごした男が自分のありのままの肉体性と対峙させられる悲劇ですね。男性的主体の崩壊というか。可哀想。
文句というのではありませんが、死に方のタイミングが美しすぎるんじゃないかとふと思わなくはないです。現実というのはあの後も人生は続くってことなんじゃないのか、とか、狂気が過ぎ去った後に見える世界の方こそ意味があるのではないか、とかとか考えさせられつつ、自分が「狂気」とか「耽美」というのにあまり萌えない体質らしいと余計な自己発見までしてしまひました。ともあれ、マーラーの音楽と共に非常に堪能させて頂きました。



銀幕でしか逢えない美少年
おすすめ度 ★★★★★

この作品は、何度も再発されてますが、店頭では毎回すぐ売れてしまいます。 何度見ても…また見たくなる。不思議な魅力溢れるのは、やはりタジオ役のビョルン・アンドルセン。少年と青年の境目の年ごろ。 最近、50代になったビョルンの写真をみました。 この作品の彼が、一番輝いていた。だから、もう今となっては銀幕の上でしか お目にかかれません。


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ワールドカップ ベニスに死す 西村望