腐ったジョニーおすすめ度
★★★★★
本物のパンクを聴きたいならセックス・ピストルズを聴けって
ぐらい代名詞な彼らですが、何がすごいってまず歌詞の過激さ
は他に類をみないだろう。まさに言いたい放題だ。そして演奏
は旨くないし、シンプルだけど、やりたい放題だ。そして腐ったジョニー君
のネチネチ、ウジウジ腐ったボイスがまた良い。代表曲はアナーキー
In The U.K.やGOD Save The QUEENだが一番良質な曲を選べって
言われたら(選ぶ必要はないかもしれないが・・・)マルコム・マクラーレン
が作らしたSubmission(服従)だろう。この曲は底が深い深い
他のシンプル痛快な曲とは一線を引いて、陶酔させてくれます。
永遠に鳴り続ける花火のような作品
おすすめ度 ★★★★★
ストーンズ…ドアーズ…時代の標的にされたバンドは、数多くあれど、このバンドほど世間を敵に回したバンドはいないんじゃないだろうか。
しかし、今にして思えば、この無謀とも思えるほど自分らしさを全うした彼らのスタンスが愛しく思える。
本作は、そんな彼らのどこか胸を熱くする狂おしいほどの優しさが伝わってくる一枚だと思う。
言いたい事だけ言い放ち、たった一枚のアルバムである本作を残して、消滅していった潔さも実にカッコよく、バンドの歴史に華を添える結果となっている。
また、そのたった一枚残したアルバムが、未だに語り継がれているという事実は、ある意味Punk(青二才)ではないというパラドックスを兼ね備えており、何とも痛快な話ではないだろうか…。
TheWhoが声高に叫んだ「年取る前にくたばっちまいたい」というフレーズを彼らが専売特許にしていたら…なんて事も考えたりもするワケだが、そんな事は彼ら自身にとってはどうでもイイ事だろう。
それどころか、本作の評価さえも拒絶しそうな毒々しくて優しい音が、この作品には充満している。
さしずめ、最も汚くて最も美しい…永遠に鳴り続け、やんちゃな光を放ち続ける花火のような作品といった感じの一枚ではないだろうか…。
概要
ハード・ロック、プログレッシヴ・ロックの出現により、テクニックを誇示し、音楽的な理論ばかりが先行してしまったロック・シーンに対しての不満が頂点に達した70年代後半に登場したセックス・ピストルズは、あらゆる意味で革新的だった。音楽の知識や楽器のテクニックをまったく必要としない暴力的で性急なバンド・サウンド、メジャのレコード会社、政府からロイヤル・ファミリーまでを揶揄(やゆ)・攻撃する命知らずのリリック、ビリビリに切り裂いた洋服を安全ピンで留めるファッション、短くカットされツンツンに立てられたヘア・スタイル、テレビ番組に泥酔状態で出演、「FUCK」を連発するというデタラメな態度。彼らが体現した「パンク・ロック」は、当時の音楽シーンに凄まじい衝撃を与えると同時に、80年代以降のロックのあり方を決定した、きわめて重要な出来事だったのだ。
本作は、セックス・ピストルがこの世に残した唯一のオリジナル・アルバム。パンクのテーマソングともいえる<8>、放送禁止にもかかわらず全英2位を記録した<5>。そのすべてが伝説だ。(森 朋之)