このウメゾロジーは、漫画家楳図かずおそっくりの「追っかけマン」が、楳図かずお本人や、そのゆかりの場所を訪れる、という基本設定となっている。そしてそこには、タスキにも書かれてあるとおり、自分そっくりの「追っかけマン」に追っかけられる楳図かずおの「恐怖」や、かなり忠実に描写された写実的な報告レポートで構成されているのもかかわらず、とにかく『おっかしい』まんがなのである。とは言うものの、本編にはいわゆる「狙った」ギャグや駄洒落の類は存在しない。そこでこのおかしさの原因を探ってみると、おそらくおっそろしく生真面目(と思われる)筆者が「真剣」に、お気楽であるはずの「お散歩」漫画を描いている、という相反するギャップにあるのではなかろうか?チャップリンやキートンのおかしさは、何よりもあの「真剣」さに由来するものであり、これと同質的なおかしさがこのウメゾロジーの目玉になっている。そしてこの本編のラストとして、当初から気になっていた「何故『♀』である筆者が追っかけ『マン』なのか」という疑問に対する答えが描かれており、このラストの結末に今度は読者が「ヒエ〜ッ」と驚くオチとなっている。その他この本には本編以外にも「楳図王国こぼれ話」(四コママンガ)や、筆者の楳図キャラコスプレ写真集、楳図かずお本人へのインタビュー「100人について聞きました」なんぞも付いており、とにかくあらゆる要素がてんこ盛りの一冊となっている。久々に『買って損のない一冊』だったのだ。
天才研究おすすめ度
★★★★★
自分にとっての憧れ(恋愛対象、尊敬する人物)の存在について
ストーカー的に興味を持ってしまうことは多かれ少なかれ
誰にでも経験があるのではないかと思う。
あの人の趣味は何なんだろう?から始まって、細かくなってくると
使ってるシャンプーの銘柄は何かしら?など(笑)
天才の作品に出会ったところから出発して
天才のやることを鑑賞する。
天才の食べるものと同じものを食べる。
天才に関連したものを実際に作ったり、集めたり。
関係あるんだかないんだか、どんどん暴走エスカレートしてます!
そう、これはギャグ漫画なのです。
天才をトレース(ストーカー)して、ついには自分自身が漫画家に
なってしまった作者の次の展開が楽しみなのです。
最高の楳図オマージュだが、楳図ファンでない人にも楽しめると思う
おすすめ度 ★★★★★
楳図かずお体験とは、楳図かずおの作品を読むことだけではないということを思い知らされる書物。
表紙に「レポートCOMICS」とあるとおり、著者自身が、楳図かずおゆかりの地やイベントなどを訪れてレポートを試みているのだが、全体を覆っている楳図かずおへの愛の強さは尋常ではない。
しかも「笑い」の精神を忘れていないところが嬉しい。
楳図ファンならニヤリとさせられるパロディ満載であるが、楳図かずおやその作品を知らなくても、グルメ・お散歩のガイドとしての実用性が高いので楽しめるはず。
すでに楳図マニアである人のみならず、これから楳図ファンになりたい人にもおススメ。