近年では珍しい「作品」と呼べるTVドラマおすすめ度
★★★★★
脚本、俳優、演出、音楽の全てが素晴らしいドラマでした。
豪華俳優陣もあくまで役柄に合った人を選んでいて好感が持てました。
特に主演の竹野内豊さんは、心を閉ざした寡黙な性格ながら刑事という
職業がらセリフ自体は多いという難しい役を見事に演じ切っていました。
ドラマの中で何度も出てくる彼の詩の朗読は、見終わった今でも頭から
離れません。彼や敵役の不幸な生い立ち、被害者男性の悲し過ぎる死、
「自分の人生こんなハズじゃなかった…」と言わんばかりの顔で次々と
現れる登場人物など、視聴率的に振るわなかったことは何となく納得
できてしまうのですが、そういった周りの雑音を気にせずに、最後まで
そのスタンスを貫いた製作陣は本当に素晴らしいと思います。
そんな暗い雰囲気の中でも、行方不明の妻を追う車イスの夫と愛人役の
國村準さんと風間杜夫さんは、悲しいながらもコミカルさを漂わせており、
そのやりとりがまるで「スター・ウォーズ」のR2D2とC3POみたいでつい
思わず含み笑いしてしまう場面が多々ありました。重いテーマを扱った
作品の中で序盤から中盤にかけて良いスパイスになっていますので、
ジャンル的に敬遠している人も結構楽しめるのではないかと思います。
こういった「作品」と呼ぶにふさわしいドラマがほとんどないといっていい
昨今ですから、同じ俳優陣が揃うのであれば続編も期待したいです。
登場人物のその後おすすめ度
★★★★★
人間の証明は今までに何回も映像化され棟据刑事も松田優作、林隆三、渡辺謙、そして今回のものと多くの役者が演じてきた。
この作品は最も話数を取っている。人間の証明は多くの登場人物の人生が複雑に絡みあっているので映画化、二時間ドラマ、連続ドラマとできるのが強み。
最終回のエンディングで主だった登場人物のその後がテロップで流される。森村誠一の棟据刑事ものはシリーズ化もされているので続編も期待したいところ。
ドラマだからできた濃密な作品。おすすめ度
★★★★★
DVD-BOXで一気に見てとても素晴らしく、驚きました。ドラマの枠を超えていると思います。
何度か見た後に原作も初めて読んでみましたが、原作の骨組みを大事に作ってあることが
よくわかりました。
刑事もの、サスペンスものは苦手だったのが、棟居刑事の静かなモノローグに引き込まれ、
人間ドラマにひきつけられ、音楽もとても美しく効果的でした。
映画よりも長い時間にわたり、濃密な物語を見せてもらえて、観客として幸せに思います。
豪華な役者陣、それ以上に竹野内さんに感心!
おすすめ度 ★★★★☆
「白い巨塔」に次ぐ名作リメイクを狙ったのでしょうけど、視聴率的には及ばなかったですね。前半は、役者さんの魅力をたっぷりと見せ、物語の世界観が丁寧に描かれ、本当に期待させられるものでした。・・・・が、思いのほか数字が振るわなかったために放映回数を短くしたのですか?(全10話でした)と思えるほど、最終回などはばたばたっと雑な感じで惜しかったです。なんだかラストで途端に説明口調になる小説を読まされている気分になってしまいました。
それにしても、よくもまあ、若手からベテランまで、こんなにすてきな役者さんを集めたなあ、と思います。捜査側では竹野内豊さんをサポートする緒形拳さん、頑なな竹野内さんの心をときほどいていく好対照な大杉漣さん、被害者側では夫と愛人なのに徐々に連帯感を強めていく國村隼さんと風間杜夫さん、存在感のある松坂慶子さん・・・といい役者さんばかり。単発で出演した役者さんも豪華でした。中堅、若手の役者さんも実力派、将来性豊かな新人さんが揃ってました。そして何より驚いたのは、竹野内さん。彼がこんなに奥行きのある演技をする人だとは知りませんでした。どうしてこれまで彼のよさに気づかなかったのかしら?と思うほど。それだけ本作での役柄が魅力を引き出したのでしょうね。彼だったら、あれもできる、これもできる、・・・・と、いろいろな小説の主人公を思い描いてしまうほど、頼もしさと幅の広さを感じさせられました。
それだけになおのこと、前述した終盤での物語運びの雑さが残念でなりませんでした。