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魔風恋風 後篇 (3) (岩波文庫 緑 114-2)

小杉 天外
おすすめ度:★★★★★
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脚気に苦しんでいた頃
おすすめ度 ★★★☆☆

明治三十六年に読売新聞に連載され、新聞再販とまでなったという人気新聞連載小説。

帝国女子学院に通う地方出の才色兼備の苦学生初野は、次第に彼女の親友で子爵令嬢の芳江の婿養子で書生の吉野との道ならぬ恋に落ちる。それは、芳江との美しいエス関係に女として目覚めた初野の心に男が入り乱れていくという風にも読める。

友情と立身の志そして押さえ難い恋愛感情の間でネジのとれた振り子のように苦悩し揺れ動き、次第に堕落の一途をたどる初野の姿は途中読むに耐えないほど陳腐なのだけれども破滅の道をたどる主人公に同情、感情移入しながら読むのはかなり快感。

主人公が肺結核ではなく脚気に苦しむというあたりも時代を感じさせる。

こんなの読んでいる場合ではないと思いつつ、かつ結末がみえても最後まで一気に読ませる金色夜叉にも負けずともおとらぬそしてよりお洒落な学生の生態が満載のこれでもかという不幸のツボを刺激する恋物語。

過日連載が終わった渡辺淳一の「愛の流刑地」もこの小説の前では芋の煮っ転がしレベルのつまらなさ。



明治の女学生とお金・学問・恋愛・世間体のドラマ
おすすめ度 ★★★★☆

 経済的苦労・病気(肺病かと思いきや脚気とは何とも色っぽくない)・恋と友情の板挟み・子爵家に睨まれたりなど…
このような度重なる不幸に、この下巻の後半ぐらいなって、いままでずっと清く正しかった主人公、萩原初野の心に、やっと悪魔的な要素がちらりと陰をさします。

そして読者が「あれあれ、そろそろ残り数十ページだというのに、一体どうやって話を終結させるつもりなのか」と気を揉み、最後の数頁で「まあだいたい大団円は予想ついたな。初野はこの男と結婚して…」と安心し、ついに最期の一頁をめくったところで、「え゛…」と仰天する、あっけない終焉。

 新聞小説だっただけあって、テンポもよいし、ゾラもびっくりのこうした乱暴な展開が魅力です。更にいうと、たとえシリアスな濡れ場であっても、旧字体の漢字に混じって「初野様、ぢやア、僕のデザイアは許諾(いれ)られたのですねえ」と濫用されるカタカナ英語もいい雰囲気出しています。

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