はえ縄漁にでてみたいという夢を持っていた作家がこねを使いまくって乗船する機会を得たのが東京大学海洋研究所の調査船白鳳丸。その発端が北杜夫の「ドクトルマンボウ航海記」を読んで船旅に憧れた幼少期にあったというから著者の情熱は大変熱い。その情熱が現場でのうなぎを巡る発見作業へと乗り移って行く。作家だけにややもすると感情表現が大げさになるところがドキュメンタリーとしては鼻につくところもあるが、うなぎ研究の第一人者の研究者達にまじっても一歩も引けを取らない行動力と知的好奇心には思わずページが進んでしまっていた。
作家はウナギにすっかりハマってしまったようですおすすめ度
★★★★★
当初、船に乗って大海原に出たいという気持ちだったのであるが、乗った船がたまたまニホンウナギの産卵場を発見するためのものだった。
それからというものの、作家ということをすっかり忘れて、専門家の勢いのごとく、数年間にかけてウナギにハマってしまったというもの。
そこには虫好き熱中少年がそのまんま大人になったという作者の純粋な眼差しがある。
グアム島沖の海山で卵から2〜3日で孵化した稚魚を初めて発見したという現場風景がリアルに描写されている。
テーマが「ウナギ」だけあって、ニョロニョロと長くつかみどころがない、延々と続く独特の文章表現。
慣れてくれば、そういった表現の仕方にひょうひょうとしたリズム感を見出し、次から次へとゆらゆらした波が押し寄せる話しの展開が妙におもしろいと感じることでしょう。
うなぎの産卵場所を探して
おすすめ度 ★★★★☆
航海モノって独特の雰囲気があって大好きなジャンルの一つです。本作品「うなぎ丸の航海」っていうタイトルに惹かれて手に取りました。が、いきなり真面目な科学のお話に面食らっているうちに、全くのシロートの筆者が何回かの航海を経てあたかもベテラン学者のように成長されていく過程がとても面白かったです。