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レディ・ジョーカー |
大手ビール会社の社長(長塚京三)が誘拐された。犯人は「レディ・ジョーカー」と名乗る5人(渡哲也、吉川晃司、大杉漣、吹越満、加藤晴彦)のグループ。身代金は20億円。犯人と被害者、それぞれの思惑の中、やがて社会的強者と弱者、差別する側とされる側などの問題が浮き彫りになっていく…。 グリコ・森永事件に想を得て記された高村薫の同名ベストセラー小説を、『愛を乞うひと』などの俊英・平山秀幸監督のメガホンで映画化した意欲作。原作が長大な内容なだけに、映画は深遠なテーマを映像化することに腐心しているが、そこは賛否分かれるところではあるだろう。ただし名優・渡をはじめとするキャストそれぞれの魅力が光り、彼らの存在によって映画としての醍醐味を感じさせてくれるのは大いに認めたい。(増當竜也) |
李歐 開かれた野心篇 |
小説の映像化は読者それぞれにイメージ像があって、なかなか納得いく出来になることが少ないと思うのですが、これは原作にとても忠実な映像化だと思いました。
作中に流れる時間の流れに合わせて背景や電話などの細かいセットがきちんと描かれてて、作中世界にどっぷりハマることができます。 役者の淡々とした演技(なのか判別つきにくいほど人物の特徴を掴んでいる)が更に視聴者の想像力をかきたたせ、のめりこみます。 原作小説と合わせて見るとより堪能できると思います。 |
レディ・ジョーカー〈下〉 |
「マークスの山」・「照柿」・「レディ・ジョーカー」と、合田刑事3作品を並べて気づくことがあります。描く世界の種類が増えているのです。「マークスの山」では刑事。「照柿」では刑事の世界のなかの不協音が増えて描き方が徹底され、それに工場労働の世界が加わったことで描く世界が二つに増えました。「レディ・ジョーカー」では、犯罪者たち・刑事世界・企業世界にくわえ、ジャーナリズムが加わりました。つぎは政治家か?と思いきや、5重テーマではさすがに分解するのか、「新リア王」で禅との二重テーマになりました(彰之という同音の名前・母の不倫で生まれたという背景からも中上健次への意識を強く感じます。そのせいか、榮の世界に比べて彰之の世界が借り物のようにどうしても感じてしまいます)。次作ではどの世界を見せてくれるのか、どの世界の匂いを嗅がせてくれるのか。ゴッホの絵の具のように盛り上がらんばかりに文字を重ねて、狂気寸前の理性を追求し続ける貪欲さに、満腔の拍手を送ります。
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レディ・ジョーカー〈上〉 |
グリコ・森永事件をベースとしたビール会社の社長誘拐事件を題材にして、社会の諸問題を重厚かつ緻密に綴った骨太の作品。元の事件当時、一般人が(不謹慎ながら)興味を持ったのは以下の点であろう。
(1) 誘拐は狂言ではないのか ? 監禁の過程で裏取引があったのではないか ? 裏社会が絡んでいるのではないか ? (2) 犯人の狙いは本当に金だったのか ? 愉快犯ではなかったのか ? (3) 犯人像は ? 本作で高村氏は冒頭で殆どアッサリと答えを出しておき、事件そのものより、企業と裏社会の闇の係り、社会で弱い立場にある人間の悲哀と精一杯の反攻、組織における個人の埋没性などを執拗と言える程丹念に描く。高村氏は現在の日本のあり方、社会のあり方に深い疑念を持っており、それを本事件を背景に描こうとしているように思える。本の帯に「人質は350万Klのビール」などと扇情的に書いてあるが、物語の本質はそうしたハデな設定にある訳ではない。合田と事件の係らせ方も巧み。合田自身も組織から疎外されかけてる人間なのだ。事件のスケールの大きさと対比するように、被害企業、警察、検察、犯行グループ、記者連中などの関係者の個々人の苦楽・生きる事の意味の問い掛け・孤立性が鮮明に浮かび上がる。身代金受け取り方法に工夫が無いのが難点だが、大きな虚構の中で現実の社会の問題を抉る力量は高く買いたい。最近の文学賞の受賞作が卑近な私小説化して行く中、小説を読む醍醐味を堪能させてくれる力作。 |
マークスの山(下) 講談社文庫 |
第109回直木賞受賞作品。 「宝島社 このミステリーがすごい!」 1994年度 第1位 「宝島社 『読者が選ぶ』過去10年のベスト20」 第10位 「宝島社 覆面座談会が選ぶ『過去10年間のベスト20』」 第2位 「週間文春 傑作ミステリーベスト10」 1993年 第1位 「週刊文春 二十世紀傑作ミステリーベスト10」 第3位 私は本作品で人間の執念というものの凄さを痛感しました。犯人の執念、捜査官の執念、事件を闇に葬り去りたい人の執念等々… いったいそれぞれの執念はどういった結末を迎えるのか… 上下両方の私のレビューを見てくださった方がいらっしゃいましたら嬉しい限りです。 ソレデハ… |
ゆうべ 高村薫 が夢枕にたたれてこうおっしゃったッ・・・!
バラエティ番組で人気を集めている 高村薫。トライアスロンの大会にも参加したことがあるアクティブボディーを限界ギリギリまで披露している。
「無音のフロアで、オーディエンスは各自ワイヤレス・ヘッドフォンをつけて、そこからDJがプレイする音をキャッチする」という“サイレント・ディスコ”が開催されるという。
ほえ~。ということはこれを頭に置いて言ってたのかな?
『 恋をすると頭に火がついて、それが身体中かけめぐって爪先まで下りて耳鳴りが残る。 』( 突然炎のごとく )
なるほどねえ。昔の人は偉いなあ。
高村薫 「神の火」
高村薫も、マークスの山、レデイジョーカー、黄金を抱いて飛べ、リヴィエラを撃に続いて5冊目になる。どれも「重い」本だか、今度のはとりわけ重い。
マークスの山(上)/高村 薫
第109回直木賞受賞、第12回日本冒険小説協会大賞受賞、 『このミステリーがすごい!』1994年版国内第1位を取った警察小説の金字塔。 これは手強い作品ですよ。 聞き慣れぬ山岳用語と、複雑に絡み縺れた警察組織の二つに幾度も道を遮られます。 ...
マークスの山 (下)/高村 薫
第109回直木賞受賞、第12回日本冒険小説協会大賞受賞、 『このミステリーがすごい!』1994年版国内第1位を取った警察小説の金字塔。 いやいや、これは疲れましたねぇ。 決して心地良くは無いですけど、充実の読後感です。 ...
照柿(上)/高村薫
「マークスの山」に続く、合田刑事第2幕。 現代の「罪と罰」と評される作品。 冒頭の、達夫の働く熱処理棟の描写が圧倒的な質量と熱を帯びて、読む者に襲い掛かります。 この時点で「マークスの山」同様、「一筋縄ではいかないな」という気にさせられ ...
照柿(下)/高村薫
「マークスの山」に続く、合田刑事第2幕。 現代の「罪と罰」と評される作品。 物語が生む圧倒的な質量と熱は最後まで衰える事無く、読む者を打ちのめしました。 寸での所で踏み止まった合田が受けた罰はこの先の彼の人生にどのような影を落とすので ...
みしほ さんのレビュー
「李歐」の原型となった本作。個人的にはこちらのほうが好みかな。李歐よりも、よりハードボイルドな印象。それにしても、こんなにも硬質な文体なのに、行間に漂うこの色気はどうしたことだろう!リ・オウの妖しい魅力は言うまでもないが、一彰のなんだか ...
ブックフェア。
次が7年越しのリベンジで高村薫の堅固な小説群。 そして、うっかり虜になった御行の又市さんの系譜で京極夏彦。 好きだけど得手不得手を確かめるために読みあさった伊藤たかみ。 短期集中で東野圭吾にも傾倒してみたり。 今は、背中をさわさわっと奔る ...
たは「高村薫」のた
高村薫は、『黄金を抱いて飛べ』で日本推理サスペンス大賞を受賞してデビューしました。 『マークスの山』『レディジョーカー』等硬質な文体で小説を書いています。 が、自分は「ミステリを書いていない」と発言しました。 実は全く読んだ事ないです。 ...
いつか王子駅で/堀江敏幸
というもので、それに対する北上さんの回答に高村薫の『レディ・ジョーカー』と堀江敏幸の『いつか王子駅で』の2作品があったのです。特に『いつか王子駅で』の紹介に興味をそそられた私はすぐに読みたくなり急いで本を買いました。 ...
マークスの山 高村薫
ラストの舞台は吹雪・・。そこに今行きたい・・(暑さの為壊れ中)